相模原市再生プログラム
岡村まさお

4)新交通システムの導入・小田急線延伸による交通難民解消

【現状】相模原市の交通インフラは貧弱!?

 

 相模原市は人口61.6万人と神奈川県下で3番目に大きい人口を誇る一方で公共交通のインフラ面で立ち遅れている感が否めません。公共交通機関である鉄道網が市の外延部を走り、市内の中心部に至るものがないためです。例えば住所変更をして、届出に相模原市役所に出かけた場合、JR相模原駅からバスでの利用となります。運転免許を保有している人は同時に相模原警察署に届け出る事にもなりますが、警察署は市役所の側にあり駅から徒歩だと20分以上掛かるのでやはりバス便となります。

 

この一角には相模原郵便局本局や県合同庁舎・裁判所・税務署が集中し行政面で市の中心をなしていますが公共交通機関はバス便しかありません。その為ここに用事のある人は勢い乗用車で来る事になり慢性的に渋滞している国道16号線沿いの道路の混雑に拍車をかける結果となっております。それを受け相模原市は市内の交通渋滞緩和策として新交通システムの導入を研究してきましたが、今般相模大野・原当麻間におけるガイドウェイバス(デュアルモードバス)の導入に向けて大きく踏み出しました。ところがその計画を照査してみると素人目にもおかしな点が多々あります。

 

●新交通システム研究の問題

@研究成果の情報公開不足

 相模原市の永年の研究成果をまとめたものに「相模原市都市モノレール等調査報告書」があります。問題は多額の建設費(約500億円)を必要とし莫大な税金を投入するにも拘らずそれを販売又は無償で配布など積極的に公開していない事です。なるほど市の情報公開室で依頼すれば貸出してくれますが、販売はしていません。これでは市民はその存在にも気が付きませんし、行政の積極的な「情報公開」とはなっていない事は論を待ちません。

 

又、昨年11月30日に南市民ホールで「新しい交通システム導入に関する市民フォーラム」が開かれ、私はたまたま淵野辺駅で小さな張り紙があり知りましたが、そうでなければ気が付きませんでした。フォーラムでは市民アンケートの結果が発表されましたが、「新交通システムについて検討されていた事や内容も知っていた」人は回答者の僅か10.5%に過ぎず、初めて知った人は52.7%と市の情報発信・情報公開度の低さを象徴しています。

 

Aルート選定の問題

次にルート選定ですが北里大学病院経由JR相模原駅又は橋本駅のルートが採算面や市内の交通混雑解消の面など多くの面で効用が最も大きいと評価しているにも拘らず平成2年〜7年にかけての古い統計を持ち出して原当麻地区の人口増加率が一番高いと何やら良く意味の判らないうちに先行検討区間として相模大野〜原当麻間に建設となっています。

 

しかしJR相模線と接続させるにしても1日当たりの平均乗降客数を見ますとJR原当麻駅3,223人、上溝駅4,650人(ちなみに相模原駅26,691人・橋本駅85,875人)となっており単純に考えても原当麻駅よりは上溝駅に接続する方が採算性の高いことがわかります。人口増加率にしても現在では都心回帰現象も起きており状況が変わっていると言うのになぜこのルートなのか判りません。

 

                                           (出典・相模原市ホームページ)

 

建設するのであれば個人的には相模大野〜北里大学病院〜陽光台(県道507号線・村富線)〜上溝〜中央(県道503号線)〜相模原のルートの方が妥当と考えますが、シンクタンクなど第三者による採算性が先決でしょう。結局多大な赤字を垂れ流してまで行う事業ではありませんし、とりわけ先行指標としての全国各地の新交通システムは経営的に厳しい状況にあることを考えると便利だからと安易に作ってしまうと後に大きな禍根を残しかねません。第三者機関に徹底した採算性評価を委託し、その結果によっては中止も視野に入れ再検討が必要です。

 

                                           (※平成14年3月決算)

路線名称

区間

開業年度

当期利益・損失

多摩都市モノレール

上北台〜多摩センター

平成10年

-30億円

東京臨海高速鉄道

新木場〜大崎

平成8年

-41億円

ゆりかもめ

新橋〜有明

平成7年

12億円

金沢シーサイドライン

金沢八景〜新杉田

平成6年

-4億円

名古屋ガイドウェイバス

志段味〜大曽根

平成13年

-6億円

 

B導入システムの選定                         

 現在愛知県名古屋市の志段味線で採用されたガイドウェイバス(デュアルモードバス)が最有力となっておりますが、個人的にはLRT(低床路面電車)の方が良いと思います。現在の計画では相模大野・北里大学病院間は市街化が進み補償費及び道路整備費が高額になり過ぎるのでコスト削減の為に地下を通過する計画になっていますが、地下空間ですから排気ガスの換気が問題となります。その点で電気により走るLRTの方が有利です。

 

他にも愛知県の東部丘陵線で採用され2005年には開通予定の常伝導浮上式リニアモーターカーであるHSST案もありますが、キロ当たりの建設コストLRT(低床路面電車)が20億円、ガイドウェイバスが25億円に対し、HSSTは60億円と建設コストがかなり割高となり無理があると考えます。そして恐らく市のガイドウェイバスによる相模大野〜原当麻案とPFI(公共サービスの民間委託)方式のLRTによる相模大野〜相模原案はコスト的には殆ど同じになると思います。市の案では北里大学病院・原当麻間は高架ではなく専用レーンを設けて地上を走行するようですからそれなら一般道に専用レーンを設けLRTを走らせても同じです。又LRTは排気ガスを出さず環境面そして床が低いので乗り降りが楽でバリアフリーの点でも有利です。

 

○名古屋ガイドウェイバス            ○LRT(フランス・モンペリア市)  

 

C運営方法の問題

 現状の計画ではPFI的な手法が盛り込まれずこれまで同様市が丸抱えして建設する事しか眼中にありません。民間の出資を募り市は最低限の出資に留め、主として市有地などの現物出資又は低い地代での利用を認めたり固定資産税の減免などで支援する事により市の初期投資を削り財政負担を軽減する。民間企業の活力を最大限活用し、まちづくりを行ない、民間企業はそれで利益を得て双方メリットを得る、こう言った視点がありません。それ以前に莫大な費用がかかる事からこの建設の可否やシステムの種類・ルートも含めて市民の意見を集約し再度検討した方が良いと考えます。

 

●小田急多摩線延伸について

 小田急多摩線は多摩センターの隣の唐木田まで開通していますが、その先の工事について市や県による小田急電鉄への再三要請にも拘らず承諾は得られていません。理由は

 

1)昨今の景気環境に鑑みて採算面に不安がある

2)相模原駅に接続する予定ルートが相模総合補給廠の中を通過することになる

 

米軍施設の返還は粘り強く継続する一方でいつ返還されるか判らないものを期待して市民の不便を放置するよりはルートを少し変更し淵野辺経由で上溝のルートで交渉するよう提案したい。淵野辺には今年4月に青山学院大学及び桜美林大学のステーションキャンパスが開校するなど乗車需要も増加しています。上溝まで開通するなら1922年(大正11年)に淵野辺〜上溝〜愛川町田代までを着工しながら関東大震災・世界恐慌による資金難から1927年(昭和4年)に解散してしまった相武電気鉄道の夢の一部が約80年振りに達成される事になります。途中、弥栄駅を設け広大な敷地を国から払下げを受け大学を誘致、利用者を増やすのも一方法かと考えます。

 

                                           (出典:イッシーのホームページ)

JR相模線複線化と新駅開設を要望

 JR相模線は単線であり列車のすれ違いのために長時間停車するなど不便な点が多く、早期複線化JRに要望強化。JR南橋本・上溝間に作の口駅、下溝 ・相武台駅間に磯部駅新設も併せて強力に要望。 

 

★アクションプログラム★

1)新交通システム建設の第三者機関による採算性調査依頼。システム及びルート・運営方法を再検討。

2)小田急多摩線のルート変更の上で延伸促進(唐木田〜淵野辺〜上溝)

3)JR相模線早期複線化と新駅(作の口・磯部駅)開設を強力に要望。

 

 

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